長期的に使用する店頭資材は、スキンケア製品とメイクアップ製品のディスプレイモジュールの厚みを減らす、単一素材による射出成形を使用する、リサイクルプラスチックを導入するなど、環境に配慮した複数の取り組みが購買チームによって体系的に導入されています。恒久的なマーチャンダイジングだけでなく、製品ローンチ時に使用する一時使用の店頭資材を見直す専任エコデザインタスクフォースも設置されました。短期使用を想定して設計されたディスプレイは、軽量性、リサイクル性、使用する素材の数に関して厳格な基準を満たすことが求められます。
すべての階層で取り組む、責任あるコミュニケーション
店頭広告にエコデザイン原則を適用
プレゼンテーション用の什器も設計を見直し、モジュール化されています。これにより、ビジュアルなどの一部要素を交換するだけで、複数のローンチにわたって再利用することが可能です。 今後の主な課題は、国際規模での回収・リサイクルシステムの構築です。 ゲランは、フランスのインスティテュ・デュ・コマースが設立したワーキンググループの一員として、この課題に積極的に取り組んでおり、現場での実用的ソリューションの試験運用も行っています。
コミュニケーションのインパクトの最適化と評価
LVMHグループは、2年にわたる開発を経て、2025年に「MIKE(メディア・インパクト・キー・エミッションズ)」を導入しました。これは、コミュニケーションキャンペーンによるカーボンフットプリント評価に特化したツールです。 MIKEは、GHGプロトコル、製品環境フットプリント(PEF)手法、グローバル・メディア・サステナビリティ・フレームワークに基づいて開発されており、印刷広告、デジタルキャンペーン、イベントなど、さまざまなメディア形式とコミュニケーションチャネルに関連する炭素排出量の算出を可能にします。
このツールは比較分析を行うこともできます。複数のキャンペーンを対象に環境への影響を評価し、より持続可能な選択肢を選ぶ意思決定を支援します。MIKEの詳細なレポートを基に、主要な排出源を特定し、それらを削減する具体的戦略を策定することも可能となります。ゲランは2023年に、MIKEを活用するパイロットブランドのひとつとして、〈ラ プティット ローブ ノワール〉や〈アベイユ ロイヤル〉などフラッグシップキャンペーンの評価を実施しました。