オルファクトリー シンフォニー
「香り」が「音」となり綴られる、フレグランスのシンフォニー。
音楽と香りは、表裏一体のような関係にあります。構成やオーケストレーション、香りのハーモニーに、その明らかな類似点を見つけることができます。鳴り響くように鮮やかに、あるいはささやくようにかすかに広がるノートは、新たな魅惑との出会いをもたらし、忘れていた遠い記憶を呼び覚まします。この密接な関係にインスピレーションを得て、ゲランはフレグランスを「音」で表現するという新たな境地を切り拓きました。
ゲランの先駆的な精神が生み出した「オルファクトリー シンフォニー」は、香りを音楽に変換することで、フレグランス体験に新たな次元をもたらします。
創作の過程
ゲルリナーデ
すべてはゲランの香りのシグネチャー、ゲルリナーデから始まりました。
香りの構成は、6つの素材 ― アイリス、ジャスミン、ベルガモット、ローズ、バニラ、トンカビーン ― をベースノートに用いています。ゲランが手掛けるすべてのフレグランスには、これら6つのうち1つ以上が組み合わされ、絶妙なハーモニーを奏でるように配合されています。ゲランが奏でる香りの芸術を象徴するゲルリナーデは、尽きることのない豊かなインスピレーションをもたらし、まだ出会ったことのない喜びで感覚を魅了します。
アート オブ バニラ
ゲランがこよなく愛するバニラ。ゲランとこの素材の歴史は、ジャック・ゲランが世界初のアンバーフレグランス〈シャリマー〉を創作した1925年にまで遡ります。
アート オブ ジャスミン
さまざまな原産地・生産者による原料を組み合わせ、秘密の配合でブレンドする「コミュネル」方式により、ゲランのジャスミンはその上質な香りの余韻を長く響かせることができます。
アート オブ ローズ
創業まもない頃から、センティフォリア ローズはゲランと共にありました。気品にあふれるフルーティな香りを発するこのフランス産ローズは、約200年にわたり、ゲランのフレグランスの中心で咲き誇っています。
アート オブ ベルガモット
遡ること1853年、ピエール フランソワ・パスカル・ゲランは〈オーインペリアル〉にいきいきとした爽やかさをもたらす素材として、ベルガモットを選びました。
アート オブ アイリス
香りの成分イロンを豊富に含むイリス・パリダのアイリスバターを、ゲランは1906年に創作した〈アプレ ロンデ〉で初めて用いました。
アート オブ トンカビーン
トンカビーンに含まれる天然成分のクマリンは、エメ・ゲランが1889年に創作した〈ジッキー〉によって、ゲランのフレグランスに初めて用いられました。
フレグランスのご紹介
ゲルリナーデとは、ゲランのフレグランスを創業初期から象徴し続けてきた、メゾンが最も愛する6つの天然素材が奏でる秘密のアコードです。独自の高度な調合技術により濃縮され、昇華された6つの素材。エクストレ コレクションでは、それぞれの美しさを最大限に引き出すゴールデンナンバーに導かれた特別な香りとして、その全容が明らかになります。
IRCAM(アコースティック/ミュージック リサーチ&コーディネーション インスティテュート)が開発した科学的メソッド「SPEAK」を使用しました。IRCAMは、サウンドや音楽のプロフェッショナルのために高度なソフトウェアソリューションを開発するとともに、さまざまなブランドに向けて独創的な音響体験を創作するための上質なコンサルティングサービスを提供しています。これにより、ひとつの世界を異なる知覚で共有することができるようになったのです。このプロジェクトは、聴覚と嗅覚の間に交わされる対話を掘り下げるものとなりました。香りの素材には、音の世界でも、それぞれの個性と結び付いたアイデンティティが授けられています。
すべてのサウンドは音楽家とIRCAMのサウンドデザイナーが作曲、演奏しており、自動生成機能は使用していません。AIを利用することも可能でしたが、今回のプロジェクトでは、感覚を重視したアーティスティックなカスタムメイドのアプローチを取り入れたいと考えました。
フレグランスに用いられる素材は、そのすべてに役割と個性、そして歴史があります。そうした特徴に通じる音や楽器を探し、フレグランスの構成をもとに一体感のあるアンサンブルを組み立てていきました。例えば、〈シャリマー〉のトップノートであるベルガモットは、シャープでありながらまろやかに香り立ち、クリスタルのように澄んだ、軽やかでダイナミックなセンセーションを喚起します。この特徴をもとに選んだのが、グロッケンシュピールです。この楽器は金属的な音が澄みきった音色を響かせながらも、柔らかく丸みのある余韻を残します。こうして、フレグランスの素材ごとに音の世界で対となる相手を見つけ出し、香りのシナリオにおける力強さや重要性に沿って、シンフォニーでの役割を与えています。
フレグランスが呼び覚ます感覚や感情は、音によっても表現できるものです。フレグランスが表現する香りのシナリオを辿りながら、音楽はその感情を増幅し、より深く、より多くの人に届く体験へと昇華させることができます。特に、嗅覚を使うことのできないコンテクスト(ウェブサイトやオンラインブティックなど)で、こうした音楽の力は顕著となります。